• 操体法はからだの声に耳を傾けて、自力自療を誘導する安全な療法です

    呼吸法について

    呼吸法呼吸には肩で息を切る「肺尖呼吸」といって空気が一番短い通路を通って肺に入るので、冷たい空気が急に肺尖の方に進むことにより、肺尖カタルを起こしやすくなります。 主に肺尖を使用するために、結核菌などが最も組織の弱い肺尖に付着する機会を多くしてしまうのです。 また、肺病などになりやすいので最もいけない習慣的な呼吸です。

    次に胸で息をする「胸式呼吸」は息を吸うと胸が拡がって腹が低くなるような仕方の呼吸のことです。 これは肺を横に拡げて、通路の長さを短くすることになるので完全な呼吸とは言えません。 

    それにもう一つ、息をすると腹が出るようにする「腹式呼吸」がありますが、この呼吸の仕方は横隔膜を動かして腹圧を高め、呼吸面をまんべんなく広くするので良い呼吸と言えます。 しかし、本当に良い呼吸というのは「胸腹式呼吸」です。 これは胸と腹が一緒に出て一緒に引っ込んでいく生理的な呼吸のことです。 現代人の多くは胸式呼吸のみでまかなっているので、これに腹式呼吸を身につければ自然に「胸腹式呼吸」となります。 

    腹式呼吸といわれる呼吸運動については多くの本が書かれており、誰もが他人に教えようとしています。 こういった本の著者や指導者は、酸素の流入が増えることのみの利点を掲げていますが大変危険な要素を含んでいます。 特に本を読んだ知識でもって自己流で行なうのは絶対にやめるべきです。 

    下腹部の腹圧を高めるのに上腹部にまで圧力をかけると、怒責作用によって胃炎をはじめとする心臓や気管、脳などに悪影響をもたらし、場合によっては心筋梗塞や脳卒中などを招くこともあります。 腹式呼吸で下腹部にだけ腹圧を高めるというのは実際のところかなり難しいのです。 呼吸法の練習は各個人にあった段階的な指導が求められます。 

    当院では「胸腹式呼吸」の指導をしています。 まず腹式呼吸は、腹が出るように呼吸するということで、別名横隔膜呼吸といわれるように、横隔膜が下がってくるので腹が出るのです。  横隔膜が下がると胸の容積が下へ大きくなり、肺底呼吸になります。 そのとき意識的に胸郭を拡げるのです。 肺底の組織は強くできており、使い減りすることはありません。 また息を出す時には、腹皮を縮めて凹ますようにすることで横隔膜が推し上げられてきます。 横隔膜が上がっていくことで肺にある汚れた空気がことごとく充分に外へ出すことができるのです。 

    これらの横隔膜の上下運動について、「姿勢」、「呼吸の吐く息と吸う息」、「丹田の力」に関するからだのレベルに合った実践指導を行なっています。