• 操体法はからだの声に耳を傾けて、自力自療を誘導する安全な療法です

    操体ヨーガとは

    2018秋季東京操体フォーラム本来、ヨーガは並みの健康体をもった人を対象としていますので、ヨーガを病気の治療として用いるには、十分な注意が必要です。 長年のヨーガ実践の経験がある指導者のもとで指導してもらうことが必須条件であります。 できればヨーガというものに理解のある医師の助言を受けることが最良といえます。

    ヨーガをすることで病気から解放されたいと願う人たちから「自分の病気には、どんなヨーガ体操をすれば良いのでしょう」という愚かな質問を多く受けます。 これは文明ボケした現代人の特徴がよく現われています。 病気の治療というものの実体を理解していないからです。 本当のところ、病気というものは治すことはできないのですが、治るように治癒力を高めることはできます。 病気を治す本当の治療者は病人自身に備わっている治癒能力という生命力そのものです。

    操体ヨーガこの生命力というのは全身組織の調和的な働きにほかなりません。 病気はからだの歪みや神経組織の不調和から現れるものであることから、その神経組織が活気と調和を取り戻すことさえできれば、生命力は高まり、病気は治癒力でもって自然に治るという理屈になります。 病気の種類や病名が何であるかなどと悩む必要はなく、そんなことを考えても意味がありません。

    ヨーガの体位体操や呼吸法等を行なうことで、病気が治るというふうに誤解しないでください。 もちろん、ヨーガの実践続けていけば特定の症状や疾患に確かに効果をもたらすことはありますが、ヨーガは決して対症療法的なものではありません。 ヨーガの実践によって病気が治り、心身が健康になるのは、さまざまな体位体操や呼吸法等を万遍なく段階的に徐々に進めてゆくことで精神と神経と肉体が全身的レベルで次第に調和して統一されてきます。 そして人間に本来備わっている自然治癒能力が高まる結果、病気がおのずと消え去るということになります。

    しかし、今、現在、症状や疾患のある人が治癒能力を高めてゆくには、その人の身体条件に合った無理のない快適なプログラムで、かつ病気等に特に効果が認められる体位法や調息法等が必要です。自分の病気に対応するような特定の体位法や調息法等を適宜組み入れることが重要なポイントとなります。その場合、病気の程度によっては、ヨーガ指導者と十分に相談した上でのプログラム作成が必要です。

    操体ヨーガヨーガはスポーツやストレッチとはまったく違います。 またアクロバットのような無理な格好を強いるものでもありません。 そのような無理をしたり頑張る必要も全くありません。 ただ毎日続けることが重要になります。 あなたもこういったヨーガの実践習慣を身につけて毎日わずかな時間でもいいからヨーガの実践にあてて、自分のからだに少しばかり気づかってみてはいかがでしょう。

    操体ヨーガでは、まず目線から動きに入っていきます。 そして、からだの動きに関係する部位に意識をおいて、ゆっくりと感覚をよく聞きわけながら呼吸に合わせて動きに入ります。 次にからだが求めてくる時間、その体位を緊張させて保持した後、からだの要求に従ってまたゆっくりと呼吸に合わせて弛緩しながら元の姿勢に戻っていきます。 それからリラックスした脱力感をしばらく味わいます。 このような一連の動きの中で緊張と弛緩のリズムが筋骨を調えて自律神経も解放されていくことで、各臓器にも良い影響を期待することができるのです。

    当院で指導する操体ヨーガは痩身や美容を目的とするものではなく、からだの使い方や動かし方の基本を指導することを一番の目的にしています。 からだが硬くて怪我をしやすい人や骨格の歪みからくる肩こりや腰痛等の症状を緩和したいと望んでおられる方を対象にしています。 ここで習った操体ヨーガを日々の習慣にして、ご家庭で毎日わずかな時間でも実践していただければと思っています。